ツグミ


冬の公園を歩くかわいい野鳥

こんにちは!今日は、冬になると日本にやってくる、とてもかわいい鳥「ツグミ(鶫)」についてお話しします。公園や河原で地面をちょこちょこと歩き回り、ときどき後ろをふり返る姿がとても愛らしい冬の使者です。

ツグミの特徴

ツグミは、ヒタキ科ツグミ属に属する野鳥で、全長は約24センチメートルです。ヒヨドリと同じくらいの大きさで、体重は約65〜90グラムです。

羽の色と模様

オスの特徴

  • 頭部から背中:茶褐色で、灰色がかっている
  • 眉斑(びはん):目の上に白っぽい眉のような線
  • 胸からお腹:白色に黒い鱗状(うろこじょう)の斑点
  • 体の側面:美しいオレンジ色(赤橙色)
  • くちばし:黄色で先端が黒い
  • :黄褐色

 

メスの特徴

  • 全体的:オスとほぼ同じ外見
  • 色味:オスよりわずかに淡い傾向
  • 識別:外見だけでのオスメスの区別は非常に困難

 

行動の特徴

ツグミの最大の魅力は、地面を歩く姿と「ふり返り行動」です。

  • 歩き方:早足で数歩歩いては、ぴたっと立ち止まる
  • ふり返り行動:立ち止まった時に、くるっと後ろをふり返る
  • 姿勢:胸を張ってまっすぐ立つ姿勢が特徴的
  • 警戒心:基本的に警戒心が強いが、採餌中は意外と人を気にしない

この「ちょこちょこ歩いては止まり、くるっとふり返る」という動作が、とてもかわいらしく、多くの人がツグミのファンになる理由です。

ツグミの名前の由来

ツグミ(鶫)という名前には、興味深い由来があります。

「口をつぐむ」説

最も有力な説は、「口をつぐむ」という言葉から来たというものです。

  • つぐむ:口を閉じて黙っているという意味
  • 理由:日本では冬にしかいないため、さえずらず静かにしている
  • 変化:「つぐむ」→「つぐみ」へと変化

実際、ツグミは繁殖地の北の国では美しくさえずりますが、日本では冬にしかいないため、地鳴きしか聞くことができません。この静かな様子から「口をつぐむ鳥」と呼ばれるようになったと考えられています。

英名と学名

英語では「Dusky Thrush(ダスキー・スラッシュ)」と呼ばれ、「くすんだ色のツグミ」という意味です。

学名はTurdus eunomusで、属名の「Turdus」はツグミ属を表すラテン語です。ツグミの仲間には、シロハラアカハラなどがいます。

ツグミの生息地・分布

世界的な分布

ツグミは、ユーラシア大陸東部に分布する野鳥です。

  • 繁殖地:シベリア中部・東部、カムチャッカ半島、サハリンなど
  • 越冬地:日本、中国南部、朝鮮半島南部

日本での分布(冬鳥)

日本では、10月頃から3月頃まで滞在する冬鳥です。

  • 到着:10月頃から日本各地に到着し始める
  • ピーク:11月〜2月が最も観察しやすい時期
  • 出発:3月中旬頃から北へ帰り始める
  • 分布:北海道から沖縄まで、日本全国で観察できる

生息環境

渡来直後(10〜11月)

  • 山地の森林に大きな群れで滞在
  • 木の実が豊富な林を好む
  • 集団で行動することが多い

真冬(12〜2月)

  • 平地へ降りて、単独またはつがいで行動
  • 芝生のある公園
  • 田んぼや畑
  • 河川敷の草地
  • ゴルフ場の芝生
  • 学校の校庭
  • 住宅地の庭

開けた草地や地面が見える場所を好み、地面を歩き回りながら採餌します。

渡去前(3月)

  • 再び群れを形成
  • 北へ帰る準備をする
  • 栄養をたくさん蓄える

ツグミの食性(何を食べる?)

ツグミは、雑食性で、昆虫と植物の実の両方を食べます。季節や状況によって食べるものを変えます。

主な食べ物

冬(非繁殖期・日本滞在中)

  • ミミズ:最も重要な食べ物の一つ
  • 昆虫:土の中の幼虫、地表の昆虫
  • 木の実:ナンテン、ピラカンサ、ヤブラン、ヤツデ、センダン、エノキなど
  • その他:クモ、小さな貝類

夏(繁殖期・北の繁殖地)

  • 昆虫:様々な昆虫の成虫と幼虫
  • ヒナの餌:主に昆虫をヒナに与える
  • ベリー類:繁殖地の木の実

 

採餌行動の特徴

ツグミの採餌行動は、とても特徴的で観察していて楽しいです。

  • 歩行パターン:早足で数歩歩く→立ち止まる→地面を見つめる→この繰り返し
  • ミミズの捕獲:地面をじっと見つめ、ミミズの気配を察知→くちばしで土をつついて引っ張り出す
  • 落ち葉の処理:足やくちばしで落ち葉をめくって下の虫を探す
  • 木の実の採食:木にとまって実を食べることもある
  • ふり返り行動:採餌中に定期的に後ろをふり返り、警戒する

ツグミは視覚で獲物を探すため、じっと地面を見つめる時間が長いのが特徴です。この「歩いては止まる」パターンは、視覚で獲物を探す鳥に共通する行動です。

ツグミの繁殖・子育て

繁殖地での生活

ツグミは、日本では繁殖せず、北の繁殖地で子育てをします。

  • 繁殖地:シベリア、カムチャッカ半島などの針葉樹林
  • 環境:タイガ(針葉樹林帯)の開けた場所や林縁
  • 標高:平地から山地まで

繁殖期と営巣

繁殖期は5月から7月頃です。北の短い夏に効率よく子育てをします。

  • 巣の場所:針葉樹や低木の枝の上、地上1〜5メートル
  • 巣の材料:小枝、草、苔、泥
  • 巣の構造:泥で固めたお椀型の巣、内側は細かい草や苔で柔らかく
  • 製作期間:約1週間

産卵と抱卵

  • 卵の数:4〜6個
  • 卵の色:青緑色で、褐色の斑点がある
  • 抱卵期間:約12〜14日
  • 抱卵の役割:主にメスが抱卵、オスは見張りと給餌

 

育雛と巣立ち

ヒナが孵ると、オスとメスが協力して頻繁に餌を運び、約12〜14日でヒナは巣立ちます。

  • 餌の内容:昆虫の幼虫、ミミズ、小さな虫
  • 給餌頻度:1時間に15〜30回程度
  • 巣立ち後:2〜3週間は親鳥と行動し、採餌方法を学ぶ
  • 独立:7〜8月には完全に独立

渡りの準備

  • 8〜9月:親鳥も若鳥も脂肪を蓄えて渡りの準備
  • 9〜10月:大きな群れを形成して南へ渡る
  • 渡りの距離:数千キロメートルを飛んで日本へ

ツグミの鳴き声

地鳴き(日本で聞ける声)

ツグミが日本で発するのは、「地鳴き」と呼ばれる普段の声だけです。

  • 基本の声:「キョキョッ、キョキョッ」
  • 警戒時:「クェッ、クェッ」
  • 飛翔時:「フィッ、フィッ」または「ツィー」
  • 地上:「ケッケッ」という低い声

さえずり(繁殖地でのみ)

さえずりは繁殖地でのみ聞くことができます。日本では冬にしかいないため、残念ながらさえずりを聞くことはできません。

  • 特徴:複雑で美しいメロディー
  • 目的:縄張り宣言、メスへの求愛
  • 時期:繁殖期(5〜7月)の早朝
  • 場所:木の高い枝の上

「口をつぐむ」の由来

ツグミの名前の由来である「口をつぐむ」は、まさにこの日本ではさえずらない習性から来ています。

鳴き声の聞き分けポイント:冬の公園で「キョキョッ」または「クェッ」という声が聞こえたら、それはツグミです。地面を歩く鳥を探してみましょう。

飛び方の特徴

ツグミの飛び方は、波状飛行です。

  • パターン:数回羽ばたく→翼を閉じて滑空→また羽ばたく
  • 見た目:ゆるやかな波を描くように飛ぶ
  • 体の側面:飛翔時にオレンジ色がよく見える
  • 飛翔距離:短距離〜中距離の移動が多い

ツグミの観察方法

ツグミは、冬の間、日本全国で観察しやすい野鳥です。観察のコツをご紹介します。

観察のコツ

  1. 地面を見る:ツグミは木より地面にいることがはるかに多い
  2. 開けた場所を探す:芝生、草地、畑など見通しの良い場所を好む
  3. 声を聞く:「キョキョッ」という声が聞こえたら近くにいる
  4. ふり返り行動を観察:歩いては止まり、ふり返る動作を繰り返す
  5. 早朝が狙い目:朝の採餌時間が最も活発
  6. 雨上がり:ミミズが地表に出やすく、ツグミも活発に採餌

観察に適した時期

  • 最適期:11月〜2月(日本全国に広く分布)
  • 渡来初期:10月(山地で群れを観察できる)
  • 渡去前:3月(再び群れを形成、数が減り始める)
  • 時間帯:早朝(6〜9時)と夕方(15〜17時)

観察に適した場所

都市部

  • 芝生のある公園
  • 学校の校庭
  • ゴルフ場
  • 住宅地の庭(芝生や開けた地面がある場所)
  • 墓地(静かで開けている)

郊外・農村部

  • 田んぼ(特に冬季の休耕田)
  • 河川敷の草地
  • 牧草地
  • 果樹園
初心者向けアドバイス:ツグミは警戒心がありますが、採餌に夢中になっている時は意外と人を気にしません。急に近づかず、ゆっくり観察すれば、かわいい「ふり返り行動」をたくさん見ることができます。双眼鏡があると、表情まで見られて楽しいです。

シロハラとの見分け方

ツグミと同じ冬鳥で、よく似ているシロハラとの見分け方です。

特徴 ツグミ シロハラ
お腹の模様 白地に黒い鱗状の斑点 ほぼ真っ白(斑点なし)
体の側面 オレンジ色 灰褐色
背中の色 茶褐色 暗い灰褐色
生息場所 開けた草地、芝生 林床、藪の中
鳴き声 「キョキョッ」 「キョッ、キョッ」

まとめ

ツグミは、冬の公園や河原で身近に観察できるかわいい野鳥です。オレンジ色の側面と白黒の斑点模様が特徴的で、地面をちょこちょこ歩いてはふり返る姿がとても愛らしいです。

  • 大きさ:全長約24センチメートル(ヒヨドリくらい)
  • 特徴:体の側面のオレンジ色、お腹の黒い鱗状斑点、白い眉斑
  • 鳴き声:「キョキョッ」「クェッ」(日本ではさえずらない)
  • 行動:地面を早足で歩いては止まり、後ろをふり返る
  • 食性:冬はミミズ・昆虫・木の実、夏(繁殖地)は昆虫中心
  • 繁殖:5〜7月、シベリアなど北の針葉樹林で繁殖
  • 分布:10月〜3月に日本全国で観察できる冬鳥
  • 性格:警戒心があるが、採餌中は意外と人を気にしない

これからの冬、公園や河原を散歩するときは、ぜひツグミの姿を探してみてください。地面を歩いてはピタッと止まる動きを繰り返す鳥さんがいたらそれはツグミかもしれません♪

水元公園で撮影

📚 出典・参考文献

  1. ツグミ – Wikipedia(一次情報:分類、分布、生態の基本情報)
  2. ツグミ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動(二次情報:鳴き声、生態、観察情報)
  3. ツグミの生態と魅力を徹底解説|日本野鳥研究所(二次情報:生態、行動、特徴)
  4. ツグミ|おさんぽ鳥見(二次情報:観察情報、行動パターン)
  5. ツグミはオレンジ色の羽が綺麗な冬鳥|ネイチャーエンジニア(二次情報:特徴、観察ポイント)


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